症状:目がゴロゴロする、目がちくちくする、目をよくこする、まぶしがる

さかさまつげは大きく二つに分けられます。一つは加齢によって起こる事が多い眼瞼内反症、もう一つは若い人に多い睫毛内反症です。これらに対する手術の内容は異なるため必ず病態を見極めて、適切な術式を選択しなくてはなりません。

眼瞼内反症

主として加齢によって起こり、下のまぶた(下眼瞼)全体が眼球側にひっくり返ってしまう疾患です。必然的にまつ毛(睫毛)が黒目や白目(角膜や結膜)をこするため慢性的にゴロゴロ感や痛みが生じます。やむを得ず眼科などでまつ毛を抜去されている方も多く見られます。毛を抜くと一時的に症状は改善しますが、また生えてきてしまうため根本的な解決にはならず、定期的な抜毛を繰り返す事になってしまいます。

治療法

眼瞼内反症に対する手術としてはJones変法(切開法)や埋没法、LTS(Lateral Tarsal Strip)などがありますが、これらを適切に組み合わせる事により治癒率を相当高める事が可能です。

切開法(Jones変法)
術前
術前のイメージ写真 術前のイメージ写真

下眼瞼睫毛の接触により下方角膜にSPKを認める

術後
術後のイメージ写真 術後のイメージ写真

下眼瞼内反が矯正されSPKは消失している

睫毛内反症

眼瞼内反症とは異なり子供や若い人に比較的多い病気で、まぶた(眼瞼)の向きは正常であるにも関わらずまつげ(睫毛)の向き全体が眼球側に倒れ込んでいる病気です。この病気においてもまつ毛は常に眼球に触れているため、慢性的なゴロゴロ感や異物感、痛みなどが生じます。特に6歳位までの幼児の場合、大人とは異なり言葉で目の異物感を表現する事が難しく「常に目をこすっている」「外に出るとまぶしがる」といったお子さんの様子を心配した親御さんが外来に連れてこられるケースが多いです。

治療法

睫毛内反症に対する手術としてはHotz変法があり、これはまぶたの皮膚を一部切除した後に皮膚の下の組織に糸をかけてまつ毛の向きを正しい向きに修正する手法です。ものによってはLER(下眼瞼牽引筋群)延長と言ったやや特殊な術式をあわせて行う必要がある場合もあります。

下眼瞼Hotz変法+LERs切離
術前
術前のイメージ写真 術前のイメージ写真

角膜広範にSPKを認める

術後
術後のイメージ写真 術後のイメージ写真

SPKは消失している

上眼瞼Hotz変法(上眼瞼形成)
術前
術前のイメージ写真

上眼瞼睫毛が角膜に接触している

術後
術後のイメージ写真

重瞼が形成され睫毛の向きは矯正されている